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デマンドレスポンス(DR)|政府の電気料金高騰対策「節電でポイント付与」とは?

政府は、節電に協力した家庭にポイントを付与し、電気料金を実質的に下げる電力各社のサービス利用を促す支援を行う方針を示しました。

既に一部の電力会社が実施しているものの、普及していないこれらのサービスは、「デマンドレスポンス(DR)」と呼ばれ、官民が連携した上での普及拡大が目指されます。

デマンドレスポンス(DR):電力会社の要請に応じて電力消費を減らし、対価を受け取るサービス

7年ぶりの節電要請に向けて

岸田首相は、物価・賃金・生活総合対策本部の初会合において「効率化に応じて幅広く利用できるポイントの付与や、事業者の節電分を買い取る制度で実質的に電気代負担を軽減する」と発言しました。

7月から9月までの間、7年ぶりとなる節電要請を実施している政府。
DRによって電力利用の抑制を促し、需給バランスの改善に繋げる狙いです。

実際に、東京電力と中部電力では、7月からこの制度が導入されます。
1kWhの節電に対して、東電は5円相当、中部電は10円相当のポイントを付与するとしていて、一月に260kWhを使うモデル世帯に当てはめると、月数十円から数百円程度の還元となるということです。

また、開始時期などの詳細は検討中なものの、政府は企業向けのDRも後押しすると表明しています。
経済産業省内には電力会社が実施するDRのポイントや割り引きを資金支援する案があり、夏と同じく大規模な節電が必要とされる冬期に向けて導入がなされます。

そもそもなぜ電気料金が高騰?

電気料金は、以下の4つの料金で構成されています。

・契約容量によって決まる固定の基本料金
・電力を使った分だけ料金が増える従量式の電気量料金
・原油、液化天然ガス、石炭など燃料費の変動に応じて電気料金を調整する燃料費調整額
・電力会社が再生可能エネルギーの買い取りにかかった費用の一部を、消費者が負担する再エネ賦課金

ロシアによるウクライナへの侵攻などの影響により、世界的に原油や天然ガスの安定的な確保が困難になっていることは周知の事実となりましたが、実は2021年から既に資源価格の高騰は始まっています。

さらには、止まらない円安などの複合的な影響の結果として、価格が高騰し燃料費調整額がかさんでいるのです。

電気料金の内訳

IEAは欧州のエネルギー代替強化を提言 

欧州では、国際エネルギー機関(IEA)が年次報告書を出し、ロシアのエネルギー供給の代替確保を急ぎ、効率性と再生可能エネルギーを大幅に強化すべきとの認識を示しました。

エネルギー効率の向上や再エネに対する投資を進め、現在の危機に対応する必要があるとしているIEA。
今年の再生可能エネルギーへの投資額は過去最大となる見込みでありながら、それでも需給ギャップと気候変動対応には不十分としています。

※今年のエネルギー投資は前年比8%増の2兆4000億ドルと予想される。

さらに、IEAは報告書の中で、電力価格の高騰と逼迫する供給を軽減できる可能性があるとして老朽化しつつある原子力施設の補強についても言及しています。

日本においても、脱炭素を推し進めるうえで、原発を巡る議論はさかんに行われています。

まとめ

今回、政府が打ち出した物価高対策は、電力分野のみならず食料品などについても言及しています。
地方自治体が家庭や中小企業を支援する際の財源となる地方創生臨時交付金について、必要に応じて増額を検討するとしている政府。

さらに首相は「継続的な賃上げをめざす」と訴えていて、生産性や成長力を高める政策が進められます。