欧州理事会|EUの再生可能エネルギーとエネルギー効率に関する目標を引き上げ
6月27日、欧州理事会は、温室効果ガスの排出量を2030年までに55%(1990年比)削減するEUの目標「 Fit for 55 」への取り組みとして、自然エネルギーとエネルギー効率に関する高い目標に加盟国が合意したことを発表しました。
理事会の合意内容は、エネルギーミックス全体において、再エネ由来の電力が占める割合を、現在の32%から40%に引き上げるという拘束力のある目標を設定すること、およびエネルギー消費量を2020年比で9%削減することです。
エネルギーミックス:石油、石炭、原子力、天然ガス、水力、地熱、太陽熱などの一次エネルギーを転換・加工して得られる電力について、経済性、環境性、供給安定性、安全性を重視して電源構成を最適化させること。
合意の背景 – 欧州グリーンディールと欧州気候法
2019年、EUを資源効率の高い、競争力のある近代的な経済に変えるための戦略として「欧州グリーンディール」が発表されました。
その代表的な施策として施行されたのが、欧州気候法。2030年までに温室効果ガスの排出量を40%削減する従来の目標から、55%に引き上げ、拘束力のある目標として規定しました。
さらに翌年、欧州委員会は55%削減の実現性を高めるための政策パッケージとして「Fit for 55」を打ち出しました。
エネルギー分野だけでなく、土地利用、交通、税制、社会的に公正な移行など、さまざまな政策について提案がなされ、その目標が設定されています。
今回の合意では、運輸を含む一連のセクター別目標についても言及がなされました。
加盟国には、最終消費における温室効果ガスの13%削減または再生可能エネルギー29%以上という選択肢が与えられ、冷暖房用の再生可能エネルギーを2026年まで年間0.8%増、その後2030年まで1.1%増という拘束力を設定。2030年の建物における再エ比率を49%以上にする目標を掲げています。
日本への影響
欧米での脱炭素へ向けた動きは、常に日本の政府や自治体、企業にも影響を及ぼします。
パリ協定以降、既に機関投資家たちは、カーボンニュートラルの実現に対して逆行していると判断した企業から資金を引き揚げるダイベストメントを開始しています。昨今では、ESG投資にも注目が集まり、サプライチェーン全体での脱炭素化は至上命題です。
ESG投資:財務情報だけでなく、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)要素も考慮した投資
今回のEUにおける気候変動対策の合意は、世界中の大企業の指針に影響を与え、それは次第に中小零細企業の取引にも波及します。
なぜなら、事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(スコープ1)で、脱炭素化に成功した企業が目指すのは、他者から供給された電気・熱の使用に伴う間接排出(スコープ2)での脱炭素化。
そして、スコープ2における脱炭素化を達成した企業が次に目を向けるのは、事業者の活動に関連する他者の排出(スコープ3)だからです。
当協会は埼玉県の「ゼロカーボンシティ」実現の為に、再エネ導入に取り組まれているご家庭や企業様、行政に対して様々な支援を行うことを目的としております。
グリーンエネルギーで満ち溢れた埼玉県を実現するために協会員一丸となって取り組んでまいります。